北新地「寿し たけうち」三種のシャリと新鮮な食材で至高の一品

 

「寿し たけうち」とは

雑居ビルの地下一階。階段を降りると左手に現れる重厚感のある白木の扉。

扉を開けるとそこには、シンプルでありながら高級感が漂う設えの異空間が広がっています。

「寿司店もサービス業のひとつという考えのもと、お客様が居心地の良い空間で、師匠から受け継いだ技を用いた至極の寿司を味わえるよう心掛けています」と話すのは、店主の竹内英人氏。

運命の出会いと竹内英人氏の挑戦

寿司店開業のきっかけは、師匠である「寿し おおはた」の大将、大畑雅達氏との出会いでした。

竹内氏は長年、飲食店の管理職として携わっており、2019年4月に北新地に和食店を開店。

しかし、開店から一年後コロナの影響で休業を余儀なくされます。

そんな中、竹内氏は同じビルの上階にあり、当時から通って仕事を教えてもらっていた、人気寿司店「寿し おおはた」の大畑氏の元で本格的に修行を始め、2020年に和食店を改装して「寿し たけうち」をオープンしました。

「寿しおおはた」の大将、大畑雅達氏との出会いの舞台は、竹内氏の和食店でした。

大畑氏が来店し、その場で提供された料理に対して意見を述べたのです。

翌日、竹内氏はすぐに料理を見直し、大畑氏のもとへと学びの道を求めました。

「初めから大畑氏に教えてもらってラッキーだね」と言われる事もあったそうだが、誰にでも出来る事ではない。

「美味しいものを作りたい」という情熱。これこそが、大畑氏の心を引きつけた原動力であることは間違いありません。

竹内氏のモットーは、「寿司店もサービス業の一環」。追い求めるのは、訪れる者が思わず「うま!」と声を上げるような料理。

料理にかける想い、こだわりはプロそのもの。しかし、根っからの寿司職人というよりは、サービス業として「お客様に最高に楽しんでいただける空間づくりを大切にしたい」「寿司の修行も大事だが、商売の修行はもっと大事」と、常に顧客目線で考える姿勢が、その言葉から伝わってきます。

師匠から継承した3種のシャリを使い分ける至極の寿司

寿司を握りながら、お客様が楽しく快適に料理を楽しめるよう気配り、目配り、心配りで、おもてなしの心を大切にしています。

長年飲食店の管理職に携わってきた竹内氏だからこその強みがそこにあります。

1番の特徴は、使用するネタに合わせてシャリを3種類使い分けていること。白、ロゼ、赤の3種類。その呼び方はまるでワインのよう。

この色の違いは、米酢と赤酢の配分量によるものです。今回、特別にシャリのみを3種類食べ比べさせていただいたのですが、シャリの色が濃くなるにつれ、酸味や塩味、鼻にぬける香りが強くなるのがよく分かりました。

同じネタの種類でも毎回同じシャリを使用するということはなく、季節によって変化する脂の乗りによってもシャリを決めているそうです。

 

この日の握り

こはだ 佐賀有明産

車海老 熊本天草の天然

赤身 鳥取境港

蛇腹のトロ 鳥取境港


例えば、白は、こはだやイカなど淡白な味わいのものに。ロゼは、赤身、のどぐろ、金目鯛といった、中間層に。赤は、車海老、煮穴子、煮蛤、大トロなど、味がしっかりしたものや、脂が乗っているものに。

お話を聞いていて、印象に残った言葉があります。

「酸味で切る」。淡い味わいのシャリに慣れている方は、驚くかもしれませんが、酸味と塩味がしっかりとあるシャリと素材の組み合わせを一度味わってみると、「酸味で切る」の言葉の意味に合点がいくのではないでしょうか。

 

おすすめの日本酒

左から、水戸部酒造 山形正宗、川敬商店 黄金澤、岡崎旭菊酒造 大地

おすすめの日本酒と寿司の組み合わせも楽しみのひとつ。日本酒は、香りの強いものより、寿司に合うさらっとした旨味の余韻が少し残って後味が綺麗に消えるものを中心にセレクト。

「取引している酒屋さんが素敵なんです」と話す竹内氏。季節の変わり目には試飲を持ってきてくれる信頼のおける酒屋さんだそう。

 

ずらりと並ぶ研ぎ澄まされた包丁 ︎

「寿司職人にとって小出刃包丁が命」塩をふる素材、小肌、春子、さよりといった小魚をおろす小出刃。

綺麗にスパッと切れていると、塩をした時に余分な水分を追い出して旨味を残してくれるという。綺麗に下ろせていないと、身が荒れた状態で塩が入りすぎてしまうそうです。

わかりやすいように丁寧に説明してくれるのも魅力のひとつ。

まとめ

北新地の寿し店というと、新規で入店するのは少し気が引けてしまうイメージがあるかもしれません。

しかし、常連さんを大切にする事はもちろん、お客様全員に楽しんでもらいたいという気持ちが強い大将ですので、初めてでも安心して伺うことができます。

「次の休日には、フレンチを食べに行くんです」と話してくれた竹内氏。休日に自ら足を運び、新しいエッセンスを取り入れる探究心が素晴らしい。

「寿司」という枠にとらわれず、美味しいものをつくりたい。師匠から受け継いだ技に、自身のオリジナルを融合させ、さらに進化し続けられる事でしょう。

ぜひ一度、3種類のシャリとネタの調和、そして居心地の良さを体験してみてはいかがでしょうか。

予約は、専用の予約サイトや電話で1ヶ月前ほど前から取れるそうです。

寿したけうちのお店情報

寿したけうち

  • 最寄り:北新地駅、西梅田駅徒歩5分
  • 住所:大阪府大阪市北区堂島1-4-8 廣ビル B1F
  • 営業時間:2部制 1部18:00スタート、2部20:30スタート
  • 定休日:日曜日
  • 電話番号:050-5890-1695
  • 予算:おまかせコース¥18,700(税込)のみ

 

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