『Fujiya1935』季節と記憶の食卓

70年もの間、多くの方々に愛されてきた『洋食屋 ふじ家』。藤原シェフの帰国と独立を機に、先代が引退。2003年「Fujiya1935」として生まれ変わりました。
2009年には、その独創的な料理とサービスの質でミシュランガイド二つ星を獲得。さらに、2012年から始まった5年連続のミシュラン三つ星獲得は、同店が大阪を代表する名店であることを世界に証明しました。

店名に込められた想いと新たな始まり

祖父がこの場所で開業した際、日本一の山である富士山のように一番になるという強い願いと、苗字の藤原に因んで「ふじ家」という店名を選びました。新たに自分のお店として構える際は、先代までの「ふじ家」とは一線を画したかった。伝統を大切にしながらも、商売に対する心構えや、お客様への献身的な姿勢など、大切な価値観は引き継いでいきたかった。その象徴として、店名をアルファベットに変更し、そこに創業年を加え「Fujiya1935」が誕生しました。

藤原哲也(ふじわらてつや)シェフ

4代に渡る料理人一家に生まれた藤原氏。ホテル勤務を経て24歳で渡欧し、イタリアの名店やスペインの星付きレストラン「L’Esguard (レスグアルド)」などで研鑽を積む。国際的な舞台での厳しい修行を経て、藤原シェフはその才能を磨き、独自の料理スタイルを確立しました。

「季節の食材を使って美味しい記憶を呼び起こすような料理」

豊かな季節の恵みを活かし、美味しさだけでなく心に残る独自の味わいをお楽しみいただけるよう心掛けています。
旬の食材を厳選し、お祭りやイベントから得たインスピレーションを料理に取り入れ、これらのイベントが持つ色彩や雰囲気をその時期ならではの特別な一皿として創り出されています。オフィス街に佇むお店は、入口をくぐると外の喧騒とは空気が一変し、落ち着いた雰囲気が広がります。樹齢1000年のけやきのテーブルが設けられたウェイティングエリアでは、静寂な時間がゆっくりと流れ、シェフの魅力的なお話を耳にしながら、「Fujiya1935」の世界へと誘われます。
出来たてのお料理が素材の持ち味を最大限に引き立てられ、食べる喜びを満喫できるお店。食材の魅力が存分に味わえる工夫が施されています。それでは、そんな魅力溢れる「Fujiya1935」の織り成すメニューの数々をご紹介していきましょう。

渡り蟹 茶豆 ミモレット

パリっとした皮の食感が特徴で、その中にはたっぷりの蟹身と茶豆、ミモレットが絶妙に調和しています。優雅な風味が口いっぱいに広がり、スパイスが絶妙なアクセントとなっています。
岸和田では、だんじり祭りの時期に渡り蟹を楽しむ風習が根付いており、その影響を受けて9月に渡り蟹を使用するそうです。これはまさに、記憶を呼び起こす「Fujiya1935」らしい演出と言えます。

高津川鮎 ルッコラのパウダー

美味しいだけではなく、見た目も実に美しい。
きゅうりの食感、野生のルッコラやハーブの風味も最高の一皿。
ルッコラのパウダーは鮎が餌にしている藻に見立てて、命の強さが表現されています。

気泡のパン 栗 リコッタチーズ

「Fujiya1935」を代表する一品であり、私自身も大ファンである気泡のパンは、まさにシェフの技術と創造性が光る逸品です。過去にトリュフと、とうもろこしをいただきましたが、今回はずっと食べてみたかった栗に出会うことができました。
手に取るとふわふわで、口に運ぶとしっとり優しく幸福感に包まれます。
贅沢に使用した栗が味わいに深みを添え、リコッタチーズのクリームは口の中で溶けていくような滑らかさ。その絶妙なバランスが素晴らしい。

筋子の暖かいフラン

蓋を開けると、きらきらと輝く筋子に目を奪われます。筋子の滑らかでマイルドな味わいがすーっと染み渡ります。繊細な味を活かしつつ、温かさによってより柔らかく、口溶けの良さを引き立てています。

鰆(さわら) 菊の花とサフランのソース

レアに火入れした鰆は驚くほど軽やかな口当たり。大分県のサフランのソースと菊の花が華やかな色彩と酸味を添えます。特筆すべきは、使用された米油。ふわりと口の中で広がり、しっとりとした食感が絶妙です。一口ごとに、季節の食材を最大限に生かした美味しさが楽しめました。

温かいぶどうと冷たいぶどう

温かいぶどうと、冷たいぶどうのジェラート。甘さと清涼感が贅沢に重なり、クランブルと胡桃が口の中で繊細な食感を奏でています。
セミスイートなチョコレートが味わいに締りを加え、一口ごとに広がる奥深さは、至福のひとときをもたらします。

ワイン・シャンパン

Krug 1996
BOLLINGER R.D.2002 (1500ml)

Cristal Rose 2000
JACQUES SELOSSE SUBSTANCE
Marguet Spience
ヨーロッパ・日本を中心としたワインリスト
マニアックな産地から、スター生産者の飲み頃ヴィンテージまで、白・赤ともに様々なワインリストをご用意しております。
シャンパンはとくに豊富に取り揃えており、お客さまご自身でお選びいただくことも、お料理に合わせて提案させていただくことも可能です。
またお料理だけでなく、1900年頃のオールドバカラ、ミケランジェロをはじめとしたものや、20世紀後期のイギリスを拠点に活動した、オーストリアのウィーン出身の陶芸家ルーシー・リーの陶器まで貴重な調度品もコレクションされています。
一度体験するともう虜。記憶に残ること間違いなし。
「Fujiya1935」の魅力に酔いしれてみてはいかがでしょうか?

「Fujiya1935」のお店情報

Fujiya1935

  • 住所:大阪府大阪市中央区鎗屋町2-4-14
  • 最寄り:大阪メトロ谷町四丁目、堺筋本町駅より徒歩5分
  • 電話番号:06-6941-2483
  • 予約:ご予約はホームページ、OMAKASEより、2ヶ月先の同日までを10時より一部の席を開放して承っております。
  • 席数:10席(テーブル3組・個室1組)
  • 営業時間:12:00 / 18:30 一斉スタート
  • 定休日:日曜日、第1月曜日
  • 予算:ランチ15,000円~(木曜・土曜・祝日のみ)、ディナー32000円~(コースのみ)

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