「鮨shizuku 西天満」独創を貫く鮨の芸術

大阪北新地に隣接する街、西天満。北新地の賑わいとは打って変わって静かで落ち着いた雰囲気が漂うこの街に、「鮨shizuku 西天満」があります。

江戸前寿司という枠にとらわれない、独自の創作鮨を提供することで人気を博しています。

今回、その魅力を直接体験し、お店の真髄に迫ってみました。

「鮨shizuku 西天満」

無駄なものが一切ない美しい外観。一歩足を踏み入れると、そこには圧巻の光景が広がる。
四季折々の風景を切り取ったかのような大きなガラス窓があり、その眺めに思わず息を呑む。

「ここでしか食べられない一品、鮨」をコンセプトに掲げる「鮨shizuku 西天満」。

店名の「shizuku」には、希少な食材を丁寧に扱い、旨味や食感の最後の一滴まで引き出すという意味が込められています。

鮨職人 川下大輔氏

大将の川下大輔氏は、数々の名店で修業を積み、その後「鮨shizuku 心斎橋」で技を磨いた。
そして「鮨shizuku 西天満」で腕を振るうこととなる。

川下氏の所作や、鮨について語る言葉には、経験に裏打ちされたセンスが光る。

食事の前にまず目にするのは、箱に並んだ箸。
ここから好きなものを選び、今日のコースを楽しむことができる。
この箸は希望すれば持ち帰ることもできるので、訪れた記念としても嬉しいポイントだ。

おぼろセット

お店で作っている調味料のセットは、まさに逸品。

鯛塩、雲丹塩、鰹塩など、さまざまな種類の塩や調味料が揃っている。
さらに、朧や醤油漬けにしたもの、昆布〆にして細かく刻んだものなど、素材の持つ風味を最大限に引き出す工夫が施されている。

これらの調味料をネタとシャリの間に挟むことで、口の中で味が変化していく。
ひと口ごとに違う味わいを楽しむことができるのは、「鮨shizuku 西天満」ならではの特徴だ。

また、鮨を握る際には、素材ごとに調味料を使い分けることで、より一層の深みを持たせている。

滋賀の作家、小原康裕氏による器も魅力の一つ。
日本全国の土を使用し、信楽焼の伝統技法に現代アートを取り入れた作品は、まさに芸術品。

これを信楽焼と呼ぶべきかは議論の余地があるが、その独特の美しさが食事の時間をより特別なものにしている。

こだわりのシャリ

「鮨shizuku 西天満」では、シャリにもこだわりが詰まっている。
赤酢と米酢をブレンドしたロゼ、赤酢100%の赤いシャリ、米酢100%の白いシャリ、この三種類のシャリを使い分けることで、各ネタに最適なバランスを実現している。

ワサビは静岡県の天城産か長野県の安曇野産を使用。

徳島県鳴門産の鯛を使用した一品。鯛のために特別に作られた鯛塩を使用し、最後にすだちを絞ることで、口に入れた瞬間に「酸っぱしょっぱい」味が広がる。
その後、鯛の甘みがじわりと感じられ、さらに奥から昆布〆の旨みが出てくる。
この絶妙な味の変化を、ぜひ味わってほしい。

平目

錦鯉に見立てた明石の平目は、見た目も大変美しい一品。
中にはエンガワが忍ばせてあり、食感の違いを楽しめる。

平目の旨みを最大限に引き出す平目塩を使用し、仕上げには爽やかな柚子の香りが加わる。
口に広がるコクのある深い味わいは、一度食べたら忘れられない。

ネタとシャリの間に鮪節を混ぜ込んだネギトロを忍ばせた鮪。
鮪塩を使い、独特の奥行きを加えている。
一口食べると、鮪節の芳醇な香りとネギトロの滑らかさが絶妙に調和し、鮪の美味しさが口いっぱいに広がる。

こはだ

熊本県天草産のこはだは、お酢にさっとくぐらせてから数日間寝かせることで、しっとり柔らかく仕上げられている。
これにより、生に近い食感とこはだ特有の繊細な口当たりが楽しめる。
口に含むと、じんわりと広がる香りと旨味が特徴。
この絶妙な食感と深みのある味わいをぜひ堪能してほしい。

流氷毛蟹 卵黄ソース

春先のオホーツク海に流れ着く流氷は、豊富な栄養分とプランクトンをたっぷりと運びます。
この栄養豊かな環境で育った毛蟹は、一年の中で最も美味しいとされています。

その絶品の毛蟹を使用した一貫。
この毛蟹には、栃木県鬼怒川産の「鬼怒卵」を使った特製卵黄ソースが添えられています。
鬼怒卵は、自然豊かな環境で平飼いされた鶏から生まれたもので、その濃厚なコクと旨みが特徴です。
このこだわりの卵を使ったソースが、毛蟹の甘みを一層引き立てます。

スプーンでいただくこの一品は、まさに贅沢な味わいを楽しめる逸品です。

季節のお野菜を使った茶碗蒸し

会津産のホワイトアスパラを贅沢に使用した茶碗蒸し。

ホワイトアスパラのほんのりとした甘みが特長で、アクセントとしてキャビアと金箔が添えられている。
ホワイトアスパラと卵、そしてお出汁だけで作られたこの茶碗蒸しは、素材の美味しさを存分に楽しめる逸品だ。
優しい甘みが口の中に広がり、キャビアの塩味が絶妙なバランスを生み出す。

デザート

三重県伊賀で栽培される、市場には出回らない希少な苺。
ここでは、農家さんが丹精込めて育てた苺を最高の状態で届けるための工夫が詰まっている。

一般的には収穫後に日数をかけて追熟させるところ、この農家ではギリギリまで木の上で完熟させる。
そのため、苺の甘みと香りが最も引き立つ状態で楽しめる。

完熟した苺は非常に傷みやすいため、特殊なパッケージを使用し、苺同士がぶつからないように細心の注意を払って出荷される。
このようなこだわりが、最高の苺を食卓に届ける秘密だ。

お酒

「鮨shizuku 西天満」では、常時30種類以上の日本酒を取り揃えている。
季節ごとに厳選された日本酒が入れ替わり、その時期ならではの味わいを楽しむことができるのが特徴だ。

新しい銘柄との出会いも楽しみの一つであり、季節ごとに変わる日本酒のラインナップは訪れるたびに新鮮な驚きを提供してくれる。
初心者から日本酒通まで、幅広い方々が楽しめるような品揃えとなっており、その多様性が訪れる人々を魅了する。

滋賀の信楽焼陶芸家・小原康裕氏が手掛けたお猪口を選べるサービスを提供。
多彩なデザインの中からお好みのお猪口でお酒を楽しむことができます。

「鮨shizuku 西天満」では、ワサビをおろす道具にもこだわりが詰まっている。

ワサビ農園が鉄に文字を彫る加工会社と協力し、日本トップクラスのエッジング技術で鮫肌を再現。
この道具は、科学的な数値でも辛みと香りを最大限に引き立てるとされる、わさびおろしです。

さらに、一か所だけ「わびさび」と遊び心のデザインが施されており、その繊細な意匠も魅力の一つ。
このような細部へのこだわりが、一流の鮨店としての品格を感じさせる。

荘厳な雰囲気の中で、創作鮨の奥深さを存分に堪能できる「鮨shizuku 西天満」。

独創的なネタとシャリの組み合わせ、そして四季折々の食材を活かした鮨を、是非一度体験してみてください。

【鮨shizuku 西天満】の情報

  • 予算  :おまかせコース 25,000円 (税サ込) 
  • 最寄り :大江橋駅から340m
  • 住所  :大阪府大阪市北区西天満2-3-15 千都ビル 1F
  • 電話  :06-6809-6535
  • 予約制 :電話またはOMAKASEより
  • 席数  :10席(現在カウンターのみ)
  • 営業時間:17:30~/20:30~の二部制
  • 定休日 :日曜