北新地の予約困難店『TOM Curiosa』、食通も唸るその理由とは?

北新地にあるイタリア料理店の中で、人気店といえば必ずと言っていいほど名前が挙がる「TOM Curiosa」(トムクリオーザ)。

この店の魅力は、シェフの巧みな料理だけに留まらない。店内の雰囲気や、細部まで行き届いた心温まるホスピタリティと、あがる声は様々。

今回はその魅力に迫ってみた。

「TOM Curiosa」とシェフ浅井 勗武氏

懇意にしていただいてるオーナーシェフ浅井さん。通称トム。

10代の頃からイタリア特有のデザイン性に惹かれ、車やバイク、家具、ファッションなどに興味を持ち、同じタイミングでイタリア料理の道へ。

19歳から15年間、名店「ポンテベッキオ」に勤め、「スッド ポンテベッキオ」料理長、LUCUA OSAKA(ルクア大阪)開業時に「エキ ポンテベッキオ」、「ドルチェ ポンテベッキオ」の総料理長として研鑽を積む。
その間イタリア、フランス、マレーシア、タイ、シンガポール等を巡り、料理への知見を深めた。修業時代からメディアにも出演し、その名は多方面に轟いていた。

2013年、「TOM Curiosa」をオープン。
満を持しての独立後は、人柄も相まってたちまち予約困難店に。

店名は、ニックネームの「トム」と、イタリア語で興味・好奇心という意味の「クリオーザ」を足してできたものだそう。

2023年に現在の場所に移転。
これまた、素晴らしい空間。

インパクトのあるカウンターは7メートルもあり、窓からクレーン車で吊って入れたという。

 

24ヶ月熟成のペルシュウと千葉県の水牛のモッツァレラレアチーズ

オープン当初より定番メニューの日本人で唯一パルマの認定を持つ多田さんのペルシュウ。
当時、大阪でこのペルシュウを食せたのはトムクリオーザのみだと記憶している。

カウンターの上で厳かに佇むのは、スライサーブランドの最高峰であるイタリア製Berkelのスライサー。
デザイン性も素晴らしいこちらのスライサーは、機能面でも、力があり刃もしっかりしているため、とにかくよく切れるそう。

スライスしたペルシュウは、優しい塩味でとろける口どけ。

そしてまたシェフの人柄の良さが滲み出る。
ペルシュウ大盛り、お代わりも気軽に受け入れる。

じゃがいもとバターとキャビア

細く切った生のじゃがいもを、発酵バターとコラトゥーラというカタクチイワシを発酵熟成させて作られた南イタリアの魚醤で味付けし、キャビアと一緒にいただく。

じゃがいもは産地ではなく、時節ごとに、その瞬間の最良の素材を厳選し、追求しているとのこと。

菜の花とチーズのラビオリ

ラビオリはフォンティーナチーズとパルミジャーノと生クリームを溶かしたものを冷やし固め、ポレンタをベースに、卵と小麦粉で丁寧に練り上げた生地に包まれたこだわりの一品。

コースの中に3品パスタ料理があるのもトムクリオーザの特徴。
リゾット、冷製パスタ、包み系など多岐にわたる。

松葉ガニとトマト、グリーンピース

むき身の蟹と爽やかなトマトのゼリーに、出始めのグリーンピースをペースト状にしたものを添え、香り豊かなオリーブオイルをたっぷりとかけてスプーンで楽しむ一品。

「濃い味が続かないよう、酸味があったり、冷たくてさっぱりしていたり、コースに抑揚をつけようと思っている」と浅井氏は話す。

土佐あかうしのドライエイジング薪焼き

土佐あかうしは、約45日間の熟成を施され、店内でもじっくりとドライエイジングさせている。
薪窯で丁寧に火入れすることで、内部までしっかりと温められ、芳醇な香りが際立つ一品。

ぶどうの枝で香りづけをしながら薪焼にしている。
ワインを作る知人のブドウ園を訪れ、剪定されたブドウの枝をいただいてきたとのこと。

紅はるかは、1年数ヶ月長期貯蔵したものを使用。
さつまいもは熟成させることで糖度が増し、一層甘みが引き立つ。

一皿の随所に料理から食材へのこだわりが感じとれる。
生産者との深い関わりも持つのだろう。

季節感溢れる構成の流れは楽しく、こだわりのワインとのマリアージュまで完璧である。

フレッシュなトマトだけで作ったパスタ

至福の時間は続き、心より楽しみに待つのは、やはり自慢の季節のパスタ。
パスタはキタッラ。ギターの弦のような形状をしたカット器具が、名称の由来だそう。

もちもちした食感の太めのパスタに、トマトの素材の味を生かしたソースがよく絡む。

「最後はできるだけシンプルなものを持ってくる。おいしいトマトがある季節は、シンプルなトマトソース。特に好きなのは、静岡県産の彩トマト。甘さに加えて酸味もしっかりとあるすっきりした美味しさ。それが好き」と話す。

これまたサイズも調整してくれる神のようなサービス精神。

パンナコッタ

料理だけでも、これで心を掴まれない者はいないのではないかと思うくらいの満足感。
だがしかし、最後のデザートも抜かりなし。
トムクリオーザの定番デザート、ピスタチオのパンナコッタ。

滑らかな口当たりと上質な甘み、そして濃厚な仕上がり。
最後まで感無量である。

このピスタチオのパンナコッタ。
人気がゆえに持ち帰り、お取り寄せも対応しており、トムクリオーザのオンラインショップにて購入ができる。

是非お土産に使わせていただきたい代物である。

ワイン

ずらりと並んだワインの数々。

ワインがたくさん用意されており、お料理やお好みに合わせてくれるので、初心者の方も安心できます。

シェフの卓越した技術と創造性が生み出す一皿一皿は、まさに店名の「トムクリオーザ」そのもの。
行き届いたサービスも、料理の素晴らしさをさらに引き立て、訪れるものに感動をもたらしてくれる。

予約困難は承知の上、季節ごと欲を言えば、最低年間6回は訪れたい名店です。

 

TOM Curiosa(トムクリオーザ)のお店情報

  • 予算  :おまかせコース 24,200円 (税込) /人
  • 最寄り :JR大阪駅 徒歩9分/JR東西線 / 北新地駅(出入口11-21) 徒歩4分
    京阪中之島線 大江橋駅(出入口2) 徒歩4分
  • 大阪メトロ谷町線 / 東梅田駅(出入口8) 徒歩5分
  • 住所  :大阪市北区曽根崎新地1-2-7 櫻ビル3F
  • 予約制 :OMAKASE
    ※お問い合わせ:050-3188-6885
  • 席数  :14席
  • 営業時間:火・木・金・土曜日 18:00~20:20、20:45〜の二部制 / 水曜日 18:00もしくは19:00〜の一部制
  • 定休日 :日曜日・月曜日・不定休