京都の新たな名店「廣澤」

オープン前からその名は業界内で囁かれ、多くのグルメたちの期待を集めていた「廣澤」。
その期待を裏切ることなく、開店と同時に一気に予約困難店となりました。
その味を知っていた関係者や先行者の口コミが、瞬く間に広がり、その人気は加速度的に増しているようです。
今京都で最も目が離せない中国料理店です。

「廣澤」の由来

「自己表現の場として、自分の名字を店名にしました」
シェフの個性は、店の随所に表れています。
特に注目すべきは、お店の表札。その筆跡からは、廣澤氏の人柄や料理への情熱が感じ取れます。
力強さと繊細さ、そして何よりも温かさが伝わるその文字は、多くの来店者を引き寄せています。

オーナーシェフ 廣澤将也氏

18歳の若さで名店「赤坂 璃宮」に足を踏み入れた廣澤氏。
23歳という若さで副料理長に昇進し、その後わずか2年で「祇園 蓮香」の料理長として重責を担うという、異例の経歴。
そして、30歳にして「北新地 蓮心」の料理長としてご活躍されました。
その後、京都の日本料理の名店「祇園 さゝ木」での研修を経て、フレンチ「モトイ」で修行。さらに香港でも半年間修業。
香港では、3日目にして
2番手の鍋のポジションを任され、2ヶ月目で「陶源酒家」の副料理長に就かれるなど、華々しい経歴をお持ちの廣澤氏
これらの経験は、廣澤氏の卓越した才能と、どこにでも通用するそのスキルを示しています。
そして、2023年3月、34歳の若さで「廣澤」を開業。
その才能とセンス、進化のスピードに目が離せません。

町屋の静けさと、四季を映す庭

京都の中心、烏丸に佇む「廣澤」。一歩足を踏み入れると、100年の歴史が息づく町屋の静謐な雰囲気と、季節感あふれる庭が訪れるゲストを迎え入れます。
「大通りから少し離れた場所に店を持つことに憧れていました」
選んだのは、祇園や北新地といった夜の賑わいが魅力の地域ではなく、落ち着いた烏丸。
その選択は、お食事の時間を特別なものにするための、廣澤氏の繊細な配慮。
カウンターからは、竹や苔、四季折々の緑に彩られた空間が広がり、そこには京都の風情がたっぷりと詰まっています。
廣澤氏のこだわりが、この美しい空間と、料理を通して感じられることでしょう
それでは、「廣澤」の魅力的なメニューをご紹介していきましょう。

「廣澤」の名物 釜焼き 叉焼

蓮心の時代から続く名物料理がこちら。
カウンターから見える釜で焼き上げられる叉焼は絶品。
以前訪れた際も、その美味しさには圧倒されました。
前回の訪問から、わずか2ヶ月の間にもかかわらず、その旨みは格段に向上しており、これは釜が徐々に馴染むことで、味が進化しているそうです。
シェフ自ら、その変化を説明してくれるのも魅力の一つです。
まず感じるのは焼き目が生み出す香ばしさ。
そしてその下からは、しっとりとしたジューシーさが口いっぱいに広がります。
外側のパリッとした食感と、中の柔らかさが絶妙に組み合わさったこの叉焼は、まさに絶品。
ほんのり甘い味付けとピリリと効いた深い味わいの味噌が、叉焼の美味しさを引き立てています。
脂身がありながらも、どこまでも食べ続けられるその美味しさは、「廣澤」ならではの逸品と言えるでしょう。

鮑の煮込みチャーハン

熊本から取り寄せた初摘みの八代海苔を使用した、極上の煮込みチャーハン。
鮑は5時間かけて煮込むことで、その深い旨味と柔らかさを引き出します。
一方、スープは8時間の煮込みを経て、その濃厚な味わいが完成。
このスープを、卵で纏ったお米に時間をかけて吸収させてゆきます。
その結果、ひと粒ひと粒がしっかりと自立する煮込みチャーハンが完成します。
鮑の繊細な柔らかさと、八代海苔特有の風味が絶妙に調和し、贅沢な味わいを存分に楽しむことができます

冬瓜 松茸とフカヒレのあんかけスープ

冬瓜は繊細にカットされ、器としてスープとともに提供されます。
冬瓜の器は、スプーンですくってスープと一緒に楽しむことができます。
高温で仕上げたフカヒレの食感と香ばしさに、とろみのある優しいスープが絡み絶品。
この時期には欠かせない松茸の香りがスープ全体を包み込み、四季の移ろいを感じさせてくれます。
「コースのボリュームがあるので器は無理しないでくださいね」とアドバイスされましたが、その味に引き込まれると、ついつい最後の一滴まで楽しみたくなります。
まさに日本の四季を感じさせる、至福の一品となっています。

和牛と賀茂なすの土鍋煮込み

300度に熱した土鍋を使用した料理です。
大ぶりの賀茂なすと、美しくカットされた和牛の断面にうっとり。
注がれた甜麺醤のソースが土鍋の中でぐつぐつとする様に、一気に気分が高まります。
見た目の迫力とは裏腹に、口に入れた瞬間に広がる優しく深いコクが特徴。
特に、賀茂なすに絡むソースの風味は絶品で、和牛の繊細な火入れとの相性も抜群です。
和牛の甘みと賀茂なすの食感、そして甜麺醤のソースが三位一体となって、思わずご飯が欲しくなるほど
満足度の高い一皿となっています。「廣澤」では、食事の〆として常時3種類のメニューが用意されており、それぞれ大、中、小のサイズから選ぶことができます。
お腹の満足度に合わせて自分好みに調整できるのが大きな魅力です。
特に麻婆豆腐や麺は、多くのリピーターに愛されている人気メニュー。
これらの料理も〆の一部として楽しむことができ、食事を締めくくる最後の瞬間まで味わい深い時間を提供してくれます。
料理のクオリティはもちろんのこと、お客様一人一人のニーズに合わせたサービスが提供されている「廣澤」。
是非一度、その魅力を堪能してみてください。

まとめ

廣澤氏の華々しい経歴から、店内から覗く美しい中庭まで、すべてが一級品。
美しい中庭を眺めながら非日常を感じられる空間。
次回の訪問が待ち遠しい、そんな魅力的なお店です。
この至福のひとときを、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。
今後も、「廣澤」のさらなる進化に、期待が高まるばかりです。

廣澤のお店情報

廣澤

  • 住所:京都府京都市中京区不動町183
  • 最寄り:阪急 烏丸駅から徒8分
  • 営業時間:平日は16時30分19時30分の2部制 土曜日は17時の1部制
  • 定休日:日祝祭日
  • 予算:コース25,000円
  • 予約制:Table check  毎月1日午前11時に翌月末まで開放
  • 席数: 8席(現在カウンターのみ)

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