西天満『上深川』 食通を魅了する、中国料理の新星

西天満・老松通り。静かな街並みに、ひっそりと灯る一軒の明かり。

2024年春、「上深川(かみふかわ)」はここで暖簾を掲げた。

店名の由来は、シェフ・田原光樹の出身地である広島県上深川町から。

8席のカウンターで供されるのは、前菜10品から始まる月替わりのコース。

北京・山東料理を軸にしながら、旬の食材や香りの工夫を重ね、柔軟な発想で仕立てられている。

名店「中国菜 火ノ鳥」で研鑽を積んだ田原シェフが独立して開いたこの店は、開業からわずか数ヶ月で食通たちの評判を集め、現在は新規の予約を受け付けていない。

シェフ田原光樹(タハラ テルキ)

1988年、広島県上深川町生まれ。

辻学園調理専門学校で料理を学んだ後、イタリアンやラーメン、スペイン料理、クラフトビールを扱う店など多彩な現場を経験。

カジュアルな店から専門店まで、ジャンルを越えて歩んだ道のりが、料理の幅を広げている。

転機となったのは、「一碗水」で味わった本格中華。

その奥深さに感動し、中国料理の道へ進む。

大阪・北浜の名店「中国菜 火ノ鳥」で4年間研鑽を積み、そのうち後半の2年間は間借り営業で自らの料理を表現し、腕を磨いた。

幅広いジャンルで培った感覚と、火ノ鳥で学んだ確かな技術。

その両方を自分の表現として形にすべく、「上深川」を開いた。

上深川のこだわり

前菜に使われる器には、「中国菜 火ノ鳥」と同じ清水焼の半結晶が選ばれている。

焼成の過程で生まれる結晶模様は、一枚ごとに異なる表情を見せ、料理に華を添える。

店内の中心に据えられたのは、シェフ自ら選び抜いた四メートルを超える一枚板のカウンター。

シンプルで落ち着きがありながら、凛とした存在感を放つ。

コースは北京・山東料理を基盤にしつつ、田原シェフが歩んできた多様なジャンルの要素を取り入れた独自の構成。

月替わりで展開され、秋から冬(10〜12月)には上海蟹を盛り込んだ特別コースが楽しめる。

前菜10品

ピータンとヤーコン

ねっとりと濃厚な旨みに、瑞々しい食感が爽やかな余韻を残す。

フカヒレの冷製と和牛ほほ肉

ぷるりとしたフカヒレのなめらかさと、肉のコクが重なり合う。

牛肉とハチノスの辛味和え

噛むほどに辛みと旨みがにじみ出て、食欲を駆り立てる。

アヒルの砂肝の白酒漬けとらっきょう

コリコリとした食感に、白酒の香りがふわり。らっきょうの甘酸っぱさで口が整う。

おおまさり落花生と半熟うずら

ほくほくの大粒ピーナッツに、卵のとろみが、やさしい調和を生む。

剣先イカのジャーマオ

葱と山椒のソースが香り高く、旨みに鮮やかなアクセントを添える。

手羽先の鉄観音茶燻製

ひと口で燻香が広がり、ジューシーな肉汁があとを追う。

福建海苔とクラゲの煮こごり

ぷるんとほどけ、磯の香りが静かに残る。

ピオーネのジャスミン漬け

果実の甘みに花茶の香りが重なり、清らかな余韻を残す

鯛の紹興酒漬けと鈴なりかぼちゃ

魚の旨みと紹興酒の深みを、かぼちゃの甘さがやさしく包み込む。

ずらりと並ぶ光景に、思わず心が躍る。まるで宮廷の宴を思わせる華やかさ。

ピータンやヤーコンといった個性的な食材に、ジャーマオ(葱と山椒のソース)の香り。

鉄観音茶の燻香、ジャスミンに浸した葡萄の余韻。

ひと皿ごとに仕込まれた丁寧なひと手間が、ひと口で伝わる。

そこには、田原シェフならではのアレンジがふんだんに盛り込まれている。

上海蟹 焼売 

10〜12月だけの特別なごちそう。

雌の上海蟹の身と味噌を惜しみなく包み込んだ焼売が、せいろの中で熱気をまとって立ち上がる。

蒸したてを頬張れば、熱気とともに立ち上る濃厚な香り。

口いっぱいに広がる蟹味噌の旨みに、思わず酔いしれる。

上海蟹の余韻が長く続く、至福のひととき。

山東省の青島 揚げ物

鶏・豚・海老を網脂で包み込み、香ばしく揚げた料理は、見た目こそ唐揚げやスペアリブ。

だが口にすれば、まったく別の世界が広がる

外はカリッと香ばしく、中からは三種の旨みがじゅわっとあふれ出す。

仕上げにかかる葱と生姜たっぷりの油淋ソースが、香り・甘み・酸味のバランスを整え、後を引く余韻を残す。

鮑ときのこの焼きネギ醤油
土鍋あんかけごはん

蓋を開けた瞬間、立ちのぼるきのこの香りとジュウっと響く音に心をつかまれる。

鮑と合わせるのは数種類のきのこ。それぞれの香りと食感が重なり合い、豊かな味わいを生む。

鮑の出汁をたっぷり含んだ濃厚なあんが米一粒一粒を包み込み、口に運ぶたびに旨みが深まっていく。

土鍋ならではの香ばしいおこげが加わり、最後まで箸を誘う締めにふさわしい満足の一椀。

田原シェフならではの技と感覚が織りなす料理は、ひと皿ごとに新しい驚きをもたらしてくれる。

今後は人員が整えば、2階の個室利用も視野に入れているとのこと。進化を続ける「上深川」から目が離せない。

現在は人気のあまり新規予約を受け付けていないが、タイミングによっては、公式SNSで告知の上、ごく一部の新規枠を開放することがあります。
最新の予約状況は、必ず公式SNSを確認してください。

機会が訪れた際にはぜひ足を運んで体験してほしいおすすめのお店です。

 

「上深川」店舗情報 

住所:大阪市北区西天満4-5-4(京阪中之島線 なにわ橋駅 徒歩8分)

電話番号:非公開

営業時間:18:00〜

定休日:日曜日

席数:カウンター8席

予算:¥15,000〜¥20,000(税込) 

※月替わりコースのため変動あり

現在「上深川」は基本的に新規予約を受け付けていませんが、公式SNSで告知のうえ、新規枠が設けられることもあります。

最新の予約情報は、公式アカウントをご確認ください。

公式アカウント

Instagram: @kamihukawa1
Facebook: 上深川 公式ページ