
北新地の中心、本通りに面した一階路面店。
扉の先に広がるのは、研ぎ澄まされた純白の世界。
整然と並ぶスパイス瓶、まるで研究室のようなその光景に、思わず息を呑む。
その中心に立つのが、オーナーシェフ・真田典之(サナダ ノリユキ)氏。

「SANADA」のこだわりは明快だ。
シャンパンを熟成・貯蔵するクレイエール(白亜質土壌)の洞窟をイメージした、無垢な空間と、研究室をイメージした厨房。

日本全国から選び抜いた100種を超えるスパイスは、ただ見ているだけでも楽しく、食への探究心をかき立てる。
それは“観賞用”ではない。緻密に計算され、生かされていく。

「ひとつの食材にフォーカスを当て、その良さを表現する料理を心がけています。」

その言葉の通り、ここでは訪れる者を独創的な料理と世界観で非日常へと誘う。
「美味しい」を追求する、静かで力強いエンターテインメント空間が、そこにある。
オーナーシェフ・真田典之(サナダ ノリユキ)

1994年生まれ。大学在学中、名古屋のイタリアンレストランで料理人としてのキャリアをスタート。
卒業後は大阪・福島のミシュラン掲載店「il luogo di TAKEUCHI」、そしてルイ・ヴィトンとのコラボレーションでも注目された「SUGALABO V」にてスーシェフを務める。
その後、北新地の名店「Feu」でシェフとして現場を預かる存在に。
若くして確かな経験と信頼を積み重ねてきた。

「自由に料理を研究し、表現できる環境が欲しかった」
その想いを胸に、2023年3月、北新地本通りに自身の名を冠した「SANADA」をオープン。

素材とまっすぐ向き合い、構成で魅せる。
感性が光る一皿には、思考と探究心が緻密に織り込まれている。



オシェトラキャビア(SANADAオリジナル)

塩分濃度まで細かく設計された、SANADA専用のオシェトラキャビア。
そのまま味わうことで、キャビア本来の深い旨味とクリーミーな口当たりを堪能できる。
ひと粒ごとに、旨みと香りを、最大限に引き出すために。シェフの哲学が込められている。
淡路島 雲丹のブリオッシュ


澄ましバターで揚げ焼きにしたブリオッシュは、サクッと香ばしく、内側はしっとり。
ほのかな甘みと、じゅわっと染み出すバターの香りに、なめらかに重なる海の恵み。
とろける淡路島産の雲丹が、温度と質感、塩味と甘味をひとつに束ねる。


食感と香りがふわりと溶け合い、口にした瞬間、すべてが整う。
雲丹の旬の時期だけ味わえる、SANADAのシグネチャー。

秋刀魚 春巻き

秋刀魚を丸ごと1.5〜2尾包んだ贅沢な春巻き。
断面を見れば、その密度に驚くはず。ぎっしりと詰まった秋刀魚。

サクサクと軽やかな衣に脂の旨みが広がる。
パルミジャーノ・レッジャーノのコクと、すだちの清涼感が引き立てる。
和と洋がふわりと交差する、季節を味わうひと皿。



栗 フォアグラ

栗の器に忍ばせたのは、カルバドスで香りづけしたフォアグラのテリーヌ。
トリュフの芳醇さがふわりと広がり、林檎の優しい風味が後を追う。

濃厚でありながら、くどさのない軽やかな余韻。
気づけばもう一口を求めてしまう癖になる美味しさ。
理屈ではなく、感覚で惹き込まれる一皿。


ブリオッシュ

焼きはじめるのは、ゲストが席についたその瞬間から。
カットされた途端、湯気とともに立ちのぼるバターの香り。
ふんわり、そしてしっとり。口にいれた一瞬で誰もが心を奪われる。

自家製の海藻バターをたっぷりと染み込ませれば、もう一切れ、あとひと切れと、ついつい手が伸びる。
あまりの美味しさに、ひと切れでは終われない。


甘海老 フルーツトマト そうめん

夏から秋にかけての季節限定で登場する、涼やかなスペシャリテ。
まわしたてのフルーツトマトを贅沢に使い、その糖度や酸味にあわせて、麺はパスタから素麺まで、ベストな組み合わせが選ばれる。

この日は、日本で最も細いとも言われる「熊本・ゆきやぎそうめん」をあわせて。
フルーツトマトの甘みと清涼感に、艶やかな甘海老のねっとり感が溶け合う。

そして、思わず笑みがこぼれる“味変”も用意されている。
SANADA流の遊び心。大きな卵型の器いっぱいに詰まった、からすみ。


好きなだけ、惜しみなくふりかけて。
トマトの余韻とからすみのコクが残るソースは、焼きたてブリオッシュに絡めて最後の一滴まで。

鮑のリゾット

使用するのは、真田シェフの地元・兵庫県猪名川町で育てられた、有機栽培の「あいがも米」。
芯を残しつつ、鮑の出汁でさっと炊き上げることで、旨みがじんわりと広がっていく。

添える食材は、焼きナスや松茸など、その時々の季節を映すものに変化する。
素材を見極め、その一皿の構成を組み立てるのも、真田シェフの仕事のひとつ。

仕上げにのせるのは、焦がしバターで焼き上げた鮑。
香ばしく焼いた鮑を贅沢にのせ、チーズは一切使わず、乳化と素材の力で、驚くほどのコクを引き出す。
すだちの皮と果汁が、リゾットに酸味と香りを添えて、味わいを整える。
食材が“ちょうどいい”ところで出会う。そんなSANADAらしい料理。

ミルク かき氷
氷もアイスも、底に忍ばせたパンナコッタまでも、すべてが“牛乳”仕立て。
仕上げには練乳ソースをさらりと。

キメ細やかな氷は、口に含むとふわっと消える。アイスもかき氷も甘さはごく控えめ。
最後に待つ、緩やかな口溶けのパンナコッタが、コースをやさしく締めくくる。
ほのかな甘みと、ミルクのまろやかさだけを残して。
締めにふさわしい、潔くて、純白の余韻。

いかがでしたでしょうか。

現在は、バンコクの「The S」監修も手がけ、真田シェフの活躍は国境を越えて広がっています。


さらに『ごちそうさん』では、真田シェフ考案のチーズケーキ「SANADA フロマージュテリーヌ」を、記事公開と同時にオンライン販売スタート。
繊細な感性と技術が詰まった逸品を、自宅でも楽しめるまたとない機会です。
「SANADA」店舗情報
唯一無二の発想と、味わった人だけが知る確かなセンス。
北新地「SANADA」で、ぜひその世界観をご体感ください。

住 所: 大阪府大阪市北区曽根崎新地1-7-9 エスパス北新地11 1F
最 寄 駅: JR「北新地駅」徒歩5分、京阪「大江橋駅」徒歩8分
電話番号: 050-5593-9174
予 約: 毎月1日に翌月分の予約が解放
営業時間:第一部:18:00〜20:00
第二部:20:45〜22:45
定 休 日: 不定休
席 数: カウンター8席
予 算: コース ¥25,000(税込・サービス料込)※変動あり
公 式 HP: https://kitashinchi-sanada.com